MS工法の技術資料/試験データ(2)
4:密着性・付着力 †
溶射皮膜は基材と物理的に密着するので、表面粗さのみでなく、基材の表面粗さパラメーターRSm/Rz-JISを小さくすると溶射皮膜の密着力は良好となります。
垂直引張強度はASTM C-633に準じて溶射膜厚380μm以上にし、試験面の表面にアルミ製治具(直径20mm)をエポキシ接着剤で接着して、島津製オートグラフDCS5000を用い、垂直に1mm/分の速度で測定。*1
溶射皮膜の垂直引張強度の関係
付着力実験 †
MS工法では、テクノテスターによる付着力試験を行っています。
テクノテスター試験 | (財)建材試験センターにおける インストロン型万能試験機による付着力試験 |
5:対上塗り付着性能 †
MS工法の亜鉛・アルミニウム擬合金溶射皮膜は、適度な表面粗度によるアンカー効果により付着力が高く、上塗りに対して良好な下地(粗面)を形成します。また、上塗り塗装を行うことは、美観の向上のみならず、MS工法の防食性能のさらなる向上が期待できます。
6:すべり耐力試験 †
通常、鋼材の高力ボルト摩擦接合においては、すべり耐力の確保のために、母材と添接板の接合面には表面処理を施さずに接合されています。
近年、接合面の防食を目的に、継手性能を損なわない接合面処理が開発され実用化されています。その代表例が、無機ジンクリッチペイントや溶融亜鉛めっき処理法です。
MS工法は、これら接合面処理法と同等の継手性能を有し、防食性能は数十倍優れた性能を持つ表面処理法です。*2
試験体 | 摩擦面の処理 | 導入軸力 (tonf) | すべり荷重 (tonf) | すべり係数 0.4以上 | |
中板 | 側板 | ||||
22C-1 | ブラスト + 粗面形成剤 + 溶射 | めっき + ブラスト | 21.35 | 48.8 | 0.57 |
22C-2 | 21.35 | 51.6 | 0.60 | ||
22C-3 | 21.70 | 47.2 | 0.54 | ||
平均 | - | - | 0.570 |
接触面の表面処理 | すべり係数 |
無塗装(赤錆状態) | 0.40 |
エッチングプライマー | 0.20 |
溶融亜鉛めっき(無処理) | 0.20 |
亜鉛・アルミニウム擬合金溶射 | 0.60 |
亜鉛・アルミニウム擬合金溶射+封孔処理 | 0.48 |
無機ジンクリッチペイント | 0.50 |
すべり耐力試験風景 | 試験後のテストピース22C-1 |
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